ど~も徳ろうです。
以前のブログでシリア内戦についてまとめました。
今月13日には米英仏が共同でシリアの化学兵器関連施設にミサイルを撃ち込みました。
その際、一貫してアサド政権を支援しているロシアは情報操作をするための偽情報をSNS上にアップしています。
それにより「アサド政権による化学兵器の使用」を否定するSNSの書き込みが平時の20倍にまで膨らみました。
その動きには国際世論の風向きを操作したいいというクレムリン(ロシア政府の通称)の思惑が見られます。
シリアを巡る対立が過激化するとロシアはSNSによる情報操作だけでなく、サイバー攻撃をしかけてくる可能性があり、米英は4月16日に共同でロシアサイバー攻撃への警戒を発表しています。
この共同アラートが発表された理由は、過去にもロシアがSNSでの情報操作で世論が惑わされないと判断した際、サイバー攻撃に移行した事があったためです。
ウクライナへ不利な情報操作
2014年3月にロシアがウクライナのクリミア半島を併合しました。その際、ロシアはウクライナへ不利な情報をSNSで拡散しています。
しかし、ご存知の方も多いようにアメリカやEUはロシアへの経済制裁を行いました。
SNSの情報操作だけでは世論を形成する事ができないと判断したロシアはウクライナへのサイバー攻撃を開始します。
15年2月にはウクライナの電力網のハッキングを行っています。そのハッキングが原因でウクライナは停電が相次ぎ、ウクライナ人は冬の最も寒い時期に電力が使えないという状態を強いられました。
ウクライナ問題はこちらのブログに要約がありました。
史上最も破壊的で損害の大きいサイバー攻撃「NotPetya」
2017年6月のサイバーテロ、「NotPetya」。このサイバーテロは史上最も破壊的で損害の大きな攻撃と言われ、米英がロシアによる攻撃であると断定しています。
この「NotPetya」による被害を受けた企業は多岐に渡り、ウクライナに拠点を置く多国籍企業のMaerskはこのサイバー攻撃で、最大3億ドル(約330億円)の損失が発生する見通しだとしています。一社だけで330億円。
以下がこのテロで被害を受けた主要な団体や企業です。
・ウクライナ国営の銀行機関
・ウクライナの政府機関
・ウクライナの地下鉄、空港(ボルィースピリ国際空港)
・全米第2位の製薬企業でもあるヘルスケアグループ、メルク・アンド・カンパニー
・海運で世界第1位のコングロマリット、A.P. モラー・マースクグループ
・ニベアなどのスキンケア商品で知られるバイヤスドルフグループ(拠点はドイツ)
・世界第1位の広告代理店、英国のWPPグループ
・鉄鉱石や石炭の採掘、鉄鋼生産を手がける多国籍企業エブラズPLC(拠点は英国)
・世界第3位の食品・飲料企業、モンデリーズ・インターナショナル(拠点は米国)
・日用品・医薬品の大手メーカー、レキットベンキーザーグループ(拠点は英国
・ロシア最大の石油企業、ロスネフチ(ロシア国営)
・ガラスや建築材料などを扱う多国籍企業、サンゴバン(拠点はフランス)
・世界55ヵ国に100以上のオフィスを構える国際法律事務所、ディーエルエイ パイパー
・米ウエストバージニアの病院、プリンストン・コミュニティ・ホスピタル
日本も他人事では無い。
上記の被害にあった企業はいづれも日本企業は含まれていません。しかし、上記に記載したのは主だった団体、企業だけなので実際にはより多くの国と地域で被害が起きています。
実際に日本でも被害は起きています。
https://www.symantec.com/blogs/threat-intelligence/petya-ransomware-wiper
マカフィーが発表した、国別でわけた脅威サンプル検出数。
New Variant of Petya Ransomware Spreading Like Wildfireより
2017年6月に起きたサイバーテロは日本でも大きく報道があったので覚えていらっしゃる方も多いと思います。
日本でも被害が起きた事に加え、このサイバーテロのせいで欧州の工場が生産不能に陥り、日本に製品が回ってこない事で欠品を引き起こしたという事例も耳にしました。
グローバルにサプライチェーンが展開されえいる現代では、海外でのサイバーテロは決して対岸の火事では無いのです。
まとめ
現在、安部政権はロシアとの関係改善を目指す路線と取っていますが、今後シリア情勢が悪化すると日本はロシアに反対表明をするしかありません。
このシリア情勢は日本とロシアの関係悪化の火種を持っており、それはロシアからの日本が直接サイバー攻撃を受ける危険性も孕んでいるのです。